心をサポートするファシリティドッグ・プログラム
今の日本では、小児がんの治療をする患者とその家族の心の面をサポートするために、NPO法人「シャイ・オン!キッズ」が行っている「ファシリティドッグ・プログラム」が話題になっています。
この「シャイン・オン!キッズ」(旧名タイラー基金)は東京に在住していた夫婦が始め、
夫のマーク・フェリスさんと妻のフォーサイス・フェリスさんが2006年に設立したものです。
以前この夫婦に子供が生まれました。
タイラーと名付けられたその子供は、生まれてから一か月も経たないうちに急性リンパ性白血病を患い、日本で精一杯治療に奮闘しましたが、2歳を迎えることなくあの世に旅立ちました。
タイラーは苦しい治療期間もいつもニコニコとし、とても精神力のある活発な男の子でした。
タイラーは闘病中も笑顔で治療を受けていましたが、実際は大変つらいものでした。
その苦しい状況下にいる日本の小児がんの子供たちと、それを支えるすべての家族をサポートするためにフェリス夫婦はこの基金を作ったのです。
この「シャイン・オン!キッズ」は、病気と闘っている日本中の子供たちとそれを支えている家族の精神的負担を減らすために作られ、たくさんの「心理社会的取り組み」を行っています。
その「心理社会的取り組み」の中のひとつとして「ファシリティドッグ・プログラム」があるのです。
「ファシリティドッグ」とは、医療現場で難病に苦しむ子供たちとその家族に安心を与えるためにトレーニングされた専門の犬のことです。
日本での現状
日本に初めてファシリティドッグが行われたのは、2010年1月、静岡県立こども病院です。 こちらがゴールデンレトリーバーの「ベイリー」と「ヨギ」です。
今は静岡県立こども病院で活躍しています。
この2頭は小児がんで苦しむ子供たちとその家族のために病院を訪れて治療、検査、手術に帯同し心理的な不安を和らげ、医者と一緒に精神的な治療を行いなっています。
その2頭の犬は訓練士と一緒に、今後の治療についてのカンファレンス(治療方針のなどの会議)も行っています。
またこのファシリティドッグは人間と同じ病棟で仕事をしています。
このファシリティドッグの有効性は研究によって証明されています。
闘病中の子供のストレスを和らげ、検査や手術などの時に一緒にいてくれることで、子供の治療に対する積極性を促します。
そして入院や治療に対してポジティブにさせます。
「ベイリーがいたから検査ができた」や
「ベイリーと一緒だから、安心して手術を迎えられる」
ということが、静岡県立こども病院で確認されています。
しかしこのファシリティドッグは日本に2頭しかいないのが現状です。
また静岡県立こども病院だけでしかファシリティドッグによる動物介在療法がおこなわれていません。
また日本にはファシリティドッグのトレーニングセンターもありません。
ベイリーと訓練士はハワイで訓練をされたものです。
「犬に対する触れ合いが欧米と日本では異なる」
とベイリーの訓練士である森田優子さんは言います。
日本では感染症などの心配があると思われ、犬が常駐する病棟はひとつしかありません。
なかなか犬が病院で仕事をするという感覚が身に付きにくかったそうです。
しかし患者やその家族にプラスの変化が出始めると病院関係者もこれは必要だと感じ始め、5年が経過した現時点では、ほとんどの病棟でファシリティドッグが活躍できるようになりました。
病棟にファシリティドッグがいることが当然と思える、そんな環境を目標に「シャイン・オン!キッズ」は動いています。
認知度を高めるための写真展を開催
今年の7月2日。ファシリティドッグの写真展が開催されます。
この展示会はファシリティドッグの活躍を写真で伝えるものです。
プロのカメラマンが撮影したものだけでなく、入院している子供たちも本格的なカメラで撮影したものが飾られています。
またこの写真展を写真集にし、全国の病院や教育機関に送るためインターネットを通じて資金を調達しています。
その目標金額は40万円です。
この動画は、去年、訓練士の森田優子さんがお話をした際の動画です。
静岡市清水区で行われた「TEDxイベント」の時のものです。
ファシリティドッグの存在とその有効性を伝え、ベイリーと子供たちとの心と心のつながりの話をしまいた。
一方で寄付がファシリティドッグの原動力であり、その費用は年間800万円に上ります。
また1年間に1頭のファシリティドッグが関わることができる患者の数は3000人です。
病気の子供たちが辛い治療を乗り越えられる勇気や、
心が休まることができる「ファシリティドッグ」のことについて、
多くの人に認知してもらうには「ファシリティドッグの存在は当然」と思うことが重要になってきます。
「シャイン・オン!キッズ」は寄付とサポートで成り立っています。
その活動の背中を押したいという方はホームページをご覧になり、Facebookをフォローしてください。
ファシリティドッグとその訓練士が増えることは、闘病中の子供たちやその家族の助けになります。
その子供たちの長い入院生活に勇気を沸かせ、望みを忘れずに治療をすることを願ってやみません。
出典:イミシン
【関連記事】
*通行人に石を投げられたホームレスの男性が入院→男性を8日間も待ち続ける愛犬の愛に涙…!
*病気のせいで捨てられてしまったハスキー犬→拾った男性が元飼い主に言った痛快なセリフを浴びせる!
*子犬がキングコブラの巣へ落下!しかし丸2日間、キングコブラが子犬へ愛のある行動をとる・・・
*結婚式にどうしても恩人ならぬ『恩犬』を参列させたかった…一匹の介助犬と花嫁の物語に、全世界が感動の涙!
*困惑と癒し?猫と犬を同時に飼うと後悔したくなる10の理由をご覧ください・・・