サナギになる前の幼虫
「調べてみたら、チキンナゲットは
『スパイスブッシュ・スワロウテイル（クスノキカラスアゲハというアゲハチョウの一種）』の幼虫で、
サナギになる前に黄色に変色する、とあったんだ。
そこかしこへ向けて、絹のような糸を出していたよ」
Oddityくんはそう言います。
そうしてOddityくんはチキンナゲットがサナギになり、羽化するまで飼うことに決めたのです。
その変化を記録し、インターネット上にアップするということも決めました。
テラリウムの中で
Oddityくんはチキンナゲットがサナギから羽化に至るその瞬間まで、
ストレスフリーに過ごせるよう小さなテラリウムを作ってあげました。
テラリウムとは、生き物をガラス容器などで飼育する方法です。
チキンナゲットにとってもこのテラリウムは居心地がよかったのか、順調に成長を遂げていきます。
この写真ではチキンナゲットはだいぶまるまるとし、逆さまになって枝にくっついています。
「チキンナゲットはこんな体勢なのにうまくバランスをとっているね、僕たち人間じゃ到底できないことだよ」
とOddityくんもこの時点でやや興奮気味です。
その後もOddityくんはチキンナゲットが気持ちよく過ごせるよう、様々な工夫をこらします。
例えばこれは、Oddityくんが「チキンナゲットが変身できるように」と音楽をかけてあげている様子です。
Oddityくんの甲斐甲斐しい世話もあってか、チキンナゲットはついにサナギへと姿を変えたのです。
サナギから、羽化へ
チキンナゲットがサナギになるとインターネット上で彼の記録を見守る人たち同様、
Oddityくんの期待は高まっていきました。
14日間という時間を、チキンナゲットはサナギとして過ごしました。
「ドキドキした。それでいて少し悲しかった」と、Oddityくんは当時のことを振り返ります。
そして、ついにチキンナゲットがその姿を現す時がやってきたのです。
チキンナゲットは、美しい蝶としての姿を披露しました。
惜しむらくは、Oddityくんがその瞬間をマーチングバンドの練習で見逃してしまったことでしょうか。
「その日に出てくるってわかっていたから、そりゃあもうパニック状態さ。『家に帰れない！』ってね」
家に帰り、Oddityくんが目にした新しいチキンナゲットの姿。
それを収めたのが上の写真です。
この様子を見て、チキンナゲットの成長の様子に胸を高鳴らせていたインターネット上のファンたちも、
たいそう興奮しました。
「家に帰ると、チキンナゲットが飼育場所だったバスルームを飛び回っていたんだ！」
Oddityくんは彼ら以上に、嬉しそうにそう語りました。
皆がその美しい羽根に見とれ、ため息をつき、そうしてそれらが少し落ち着いた時、
チキンナゲットの雌雄についての議論が起こりました。
結局、チキンナゲットは「雌雄モザイク」という雌雄両方の特徴を持つ種類であることがわかりました。
そして別れの時…
こうして、チキンナゲットの羽化をしっかりと見届けたOddityくん。
彼は一晩をチキンナゲットと共に過ごすと、翌日別れを寂しく思いながらもチキンナゲットを空に放ちました。
「チキンナゲットがいなくなってしまうのは悲しかったけれど、
彼が大空に羽ばたいてくれてとても気分が良かったよ」
彼は爽やかに、そう語ったそうです。
その時の動画はこちら！
このチキンナゲットとの別れの様子を、Oddityくんは動画としてインターネット上にアップしました。
その様子がこちらになります。
小さく、Oddityくんの手にしがみつくようだったチキンナゲット。
そのチキンナゲットが大きくその羽根を広げ大空に飛び立ったその瞬間、
陽光と美しい羽根は溶けあい空に消えて行きました。
インターネット上では、Oddityくんと同じように皆がチキンナゲットとの別れを惜しみ、そして祝福しました。
二人の触れあいを14日間追ってきた皆にとってそれは嬉しくもあり、
悲しくもあり、寂しくもある瞬間だったのです。
チキンナゲットがこれから自然の中で自由に羽ばたいて、精一杯生きてくれるといいですね。
きっとObbityくんもそれを見続けた皆も、そう願っているはずです。
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