入居が出来る事になった時、お婆さんは彼女より先に俺に相談を持ちかけて。
市営住宅は家賃が安くて、たしか一万三千円くらいで、あの時住んでたアパートの半分以下。
家賃共益費水道代込みで二万八千円(内訳忘れた)で、水道代払っても、一万円は浮く計算。
「引っ越し、手伝いますよ。」そう言ったら「あの子が何というかよ。」少し迷ってて。
俺と会って仲良くなってからの彼女は、それまでとは全く変わったらしくて。
「当たり前の女の子の顔になってくれてね。」お母さんが言ったのと似た事を言って。
彼女が俺と離れて住んで行き来が無くなったら、元に戻るのではと不安がってて。
時々でも会ってやって欲しいと頼まれて。「会えないと寂しいですから。」素直に言って。
転居先は歩いて二十分くらいの所。その気になれば、すぐ行ける距離。何も問題は無くて。
「あんたがそう言うてくれたら、話がしやすいけんね。」お婆さんも、安心してくれて。
でも伝えてみて引っ越すのは嫌だと言えば、無かった事にすると言って。
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