顔が変形した犬
犬の名前は「ラッキー」と言います。
しかし、この子は名前とは違う運命をたどりました。
繁殖所で生まれたラッキーは、生まれつき頭部が変形していたのです。
変形した顔のラッキーに、ブリーダーは関心すら持ちません。
仲間たちが次々と貰われていき、ラッキーだけが繁殖所に残ります。
売り物にならないと考えたブリーダーは、無料である家族に引き渡しました。
家族が見つかったラッキーでしたが数ヶ月すると、
「いらない」という理由だけで保健所に引き渡されてしまうのです。
そんな飼い主のもとで、ラッキーが可愛がられていたとは到底思えません。
そこからはたらい回しにされ、里親と保健所を行ったり来たりが続きます。
そのような生活を経てラッキーは臆病な性格になり、新しい家族と馴染むことが難しくなります。
6番目に引き取られた家では先住猫と折り合いが悪いという理由で、
数ヶ月間も裏庭の木の下で独りぼっちで繋がれていました。
女神の登場
結局、6番目の家族も引っ越しを理由に保健所へ引き渡します。
保健所のスタッフはこの子の将来に絶望を感じましたが、
ラッキーの写真と生い立ちを綴った文章をFacebookに投稿して最後のチャンスを待ちました。
するとアメリカ人女性のジェイミー・ホルトさんが、
悲しい目をしたラッキーに心を奪われてすぐに保健所に連絡します。
「ラッキーの里親になりたい」と申し出てくれたのです。
生まれてから一度も愛情を知らないラッキー。
ネグレクトなどの原因もあり、身体的にも精神的にも問題がありました。
それでもジェイミーさんの意思は変わらなかったのです。
「ラッキーは人工呼吸器無しでは息もできず、かなりやせ細っていました。
『お金は払いますから、ラッキーを助けて下さい』とお願いし、治療費だけで8000ドル(日本円で約87万円)かかりました。」
とジェイミーさんは振り返ります。
新しい名前
ラッキーの再スタートにお金を惜しまなかったジェイミーさん。
幸せを知らないラッキーに、愛情を注いであげたいという一心でした。
そしてラッキーは徐々に回復し、ジェイミーさんとも信頼関係で結ばれていったのです。
ジェイミーさんはラッキーの再出発のため、新しい名前を名付けることにしました。
その名は「Beaux Tox(ボー・トックス)」です。
フランス語で『美しい』と言う意味を持つ「Beaux」に、
しわ取りの「Botox8ボトックス注射)」をもじった名前です。
「ボトックス注射をした方がいい顔立ちだけれど、私はこの顔が好きです。」とジェイミーさんは語ります。
新しい家族と1年が過ぎたボー・トックスは、一緒に遊べる妹弟もできました。
今では好奇心旺盛な明るい性格になったそうです。
自分の全てを受け入れてくれる、本当の家族が見つかりました。
つらい思いをしてきたボー・トックスですが、これからは楽しく生きて欲しいですね。
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