街のパン屋さんが被災地のために送ったパン、ほとんどが廃棄処分に→ある名案のおかげで廃棄のパンが世界へ!

パンの「缶詰」

ベーカリー「パン・アキモト」は、

「安心・安全でおいしいパン」をお客様に提供するという原則を掲げています。

こちらは二代目社長の秋元義彦さん(63)。

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「どこのお客様にでもおいしいパン を食べていただく」ということを考えました。

そんなパン・アキモトが世界から注目されるようになったのは、

「パンの缶詰」を開発したことです。

災害時用の非常食として作ったのです。

非常食のパンとして、思い浮かぶのが、乾パンですね。

ですが乾パンは食感が硬いです。

ですが、 ベーカリー「パン・アキモト」の「パンの缶詰」は 一味違ったものでした。

阪神・淡路大震災でのショックな出来事

二代目社長である秋元義彦さんは、創業者の父親からお店を引き受けてお店を発展させてきました。

そして「パンの缶詰」を作るきっかけが、1995年の阪神・淡路大震災でした。

食料が不足しているという情報を仕入れて、震災直後の神戸に2千食の食パンや菓子パンを送りました。

自分の所のパンが震災被害者のための役立てるのならと思い、

トラックに積んで被災した人たちに届けようとしたのです。

ところが震災被災者の届く前にせっかくのおいしいパンは、半分以上が廃棄されてしまったのです。

そこから被災者の声を聞き、 試行錯誤した上に新しく作ったのが「パンの缶詰」だったのです。

缶の中に入っているパンはもちろん保管もできますし、賞味期限3年と長くついています、

味は乾パンと違って、とても柔らかくで焼きたてに近いものでした。

ふわふわした食感が楽しめてとても非常食のパンとは思えない、お店と変わらない味を作ったのです。

その上種類が多いので、 飽きがこないのが特徴です。

パンの缶詰が世界の飢餓を救う!

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新しいパンの缶詰の名は「救缶鳥プロジェクト」です。

世界の飢餓救済の活動を支える一環としてこの救缶鳥を開発しました。

2004年にスマトラ島沖地震が発生。

被災地のスリランカにいた知人から、

「売れ残ったパンの缶詰があったら、 送ってくれないか?」

と尋ねられました。

そこから始まったのが救缶鳥プロジェクトなのです。

作りはパンの缶詰と同じなんだと思いますが、流通システムがすごいのです。

仕組みは賞味期限が来る1年前に前倒しでパンを回収します。

下取りをした上で、割引価格で新しい缶詰パンの 購入するという画期的なものでした。

さらに、回収したパンの缶詰はNGO団体を使って、世界の飢餓に悩む人たちのために寄付をしました。

この流通システムのおかげで、缶パンを廃棄することなく有効に利用することができるように なりました。

救缶鳥は、義援物資として世界を驚かせました。

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缶帯のメッセージ

実は、 救缶鳥プロジェクトの缶帯には 「メッセージ欄」があります。

パンを受け取る人たちに気持ちを 伝えるためのものです。

これなら、気持ちを伝えることで 世界が繋がっていることが実感できますね。

缶パンを買うことによって国際に貢献もできるし、賞味期限前を回収してもらい、新しい缶パンを割引価格で購入することもできます。

何よりも、 被災地へすぐにパンの缶詰を送るシステムも作り上げました。

例えば東日本大震災では、 那須塩原のパン・アキモトも工場が被災したのもかかわらず、震災直後、パンの缶詰を1万5千食調達。

今でも毎月、社長である秋元さんは数名の社員ともに被災地応援に行っているのだそうです。

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熊本地震にて

先日、熊本地震がありました。

そこでも、すばやい対処をしました。

2度目の大きな地震が起こった朝には、パン缶を詰めるだけ詰めて1800食を届けました。

今では、すでに2万食を支給しているそうです。

食べるものがないと苦しんでいる人たちがいます。

パンを作って、 買ってもらってそれで終わりでは生きている意味がないように思います。

「パン・アキモト」は廃棄されたパンを活かしきれなかったことで、

こんなにも大きなプロジェクトを起こし、

世界をあっと言わせました。

救缶鳥ボランティアは、寄付やボランティアが盛んなアメリカでも好評だと言います。

今後は海外のパン屋さんでも展開してもらえるよう支援していくとのこと。

「パン・アキモト」のさらなる発展に期待したいですね。

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